錆取り職人への道
    ガソリンタンクの錆取 防錆作業例

  <バイクタンクの場合>   仕事請負人:スタッフA
   
今回、モンキーダンクの餌食(エジキ)になるのは友人の kawasaki GPZ1000RX ヨーロッパ仕様。
ノーマルマフラーなのに迫力音を吐き出します。
私も同じバイクを所有していますが、今のスーパースポーツバイクのように、誰でもそれなりに乗れてしまうオリコウさんではなく、勇気と度胸が試されるジャジャ馬。
キャブと電気系のセッティング次第でとんでもない怪物に変身します。
バルブタイミングまで変えたらもうドラッグレーサー
 
 

タンク容量は21Lです
先ずはタンクからガソリンを抜きます。
ストーブ用のハンドポンプを使うと底にあるゴミまで吸い取ってくれます。
ポンプのパイプは短いので古いポンプのものをちょんぎって延長しました。


うっひゃー!錆の破片が出てくる出てくる
ちなみに白く見えるフィルターは、防塵用紙マスク。これがナカナカ濾過(ろか)性能に優れ、形状もスイハクにぴったりです。
ホームセンターや100均で安く手に入るし、本来の作業マスクとしても当然使えますので、私はとっても重宝しています。




こんな感じ

これはまだ途中の写真で、抜き終わったあとの状況は友人の名誉のため、とてもお見せできません。
 

ガソリンを抜き終わったタンクの中を覗くと錆でまっ茶色です。
錆が層になりメクレかかっているほどの劇サビ。
 

フィルターもまっ茶色。 これがなかったらエンジンは相当いっちゃってましたね。


バイクからタンクをはずし、ひっくり返すと燃料コックと燃料ゲージが付いているので、これを外します。
ゲージ本体を見たらかなり錆びていたので、今回は取り付けたままです。
(皆さんは外してくださいね。)
 
燃料コックをはずした後の穴はふざぎます。いつもどおりゴム板と金属プレートでバッチリ。
 うまいでしょ!


タンク表面が滑らかで油分をしっかり除去すれば布製ガムテープでも結構大丈夫です。
 
タンク内はしっかり洗浄します。マジックリンは本当によく油が落ちます。
マジックリン100t:水(又はぬるま湯)3Lで3〜5回ほどシェイクしながら洗います。排出はサビが混じるので先ほどのハンドポンプがベスト。
ここで注意!
古いタンクの中には腐敗したガソリンがコールタール化している場合があります。また混合燃料で使用したタンクはオイルがゲル化している場合があります。オイルカット剤、キャブクリーナー、やシンナーでヨーく落としてくおくこと。
油分が残っているとサビが完全に除去できません。時にはヘドロ状のものが残ります。
(ここで手を抜くとあとでガックリきます。)
洗剤で洗浄後はしっかり水洗いします.


 

じゃーん!モンキーダンク登場!!!!
 


トボ、トボ。
 

約900ccをタンクに入れ100ccを後のリンス処理のために残しておきます。
オプションの防錆剤GXを使用する場合は全部をタンクに投入してもOK。
 
約60〜70℃のお湯を入れます。入れる量は取説に解説されてますが、タンク容量と処理時間、サビの程度により加減します。
水でもいいのですが、お湯の方が処理時間が早く、サビもよく落ちます。
また、残った油もフヤケ落ちます。
写真は給湯器のお湯をポリタンクに入れてきたものを注いでいます。
参考:私は総液量がタンク容量の60%くらいの量になるようにしています。
  理由・・・それ以上は重くなり腰を痛めるから。

 

タンクの形状によってはこんなふうに木材等で支えタンク内の液が片寄らないようにします。
下に敷いてあるのは、タンクを傷つけないようにするためのバスマットです。
猫がツメとぎしてボロボロ
。(~_~;)
 

時間をおいてヒックリ返します。これを2〜3回行うと、隅々までばっちりサビが落ちるのです。
体力に自信がある人はシェイクすると早く処理が完了します。
 

処理液を排出。
やはり、ハンドポンプを使います。このとき最初ガソリンを抜いた時と同じようにフィルターを使って濾してやると処理液が
綺麗になり再使用出来るようになります。
    すみません
   写真撮り忘れました!

     
     
 

タンク内を水で充分洗浄。(2〜4回) サビの破片が出てくる時は出なくなるまで行います。
水の排出は、やはりハンドポンプを使った方が楽で確実です。


 

リンス処理。
最初に取置きした100cc(又は防錆剤GX ) をタンクに投入し、タンク内面に行き届くようシェイク。5分程たったらまたシェイク。
その後、3分ほどたったら液を排出します。(リンス処理後は絶対に水洗いしない。)

<リンス処理の意味>
モンキーダンクでサビを除去すると同時に鉄板の表面部分を防錆鉄の層に変えます。
しかしこの層はまだ柔らかくもろいままです。さらに水洗いをおこないますので防錆層も薄くなり、このままでは非常に酸素を取り込みやすくなってしまいます。 
(錆とは鉄と酸素が化合したもの。 理科でならいましたよね。)
そこで、このリンス処理を行うことで、防錆鉄の層を再生・増強させてやります。
防錆剤GXを使用する場合は原液を投入し、上記作業を行います。(取説は水で2〜6倍希釈ですが、私は原液での使用を推奨)

※ よくある錆取剤は錆取のみです。
むき出しとなった地金は薬品により非常に錆び易く、そのままでは10分もたてば錆が再発します
多くの方は錆取りだけを考えますが、肝心なのは錆取り後の防錆対策です。
 

給油口はサビやすいところです。
紙ウエス等を使ってモンキーダンク原液、又は防錆剤GXを充分塗布してやりましょう。
 
いよいよ乾燥による防錆被膜作りの最終工程。 この被膜こそモンキーダンクがプロ受けする最大の理由!

ジャヤーン!! 
これぞ、私とっておきの秘密兵器。
カールドライヤーの先にボール紙を丸め筒状にしたものを取り付けます。(テーパー状に先を少し細くします。)
このドライヤーは安物で充分。ホームセンターなら1000円前後で手に入ります。
私はカミさんの留守時をねらって拝借してますが。



 

こんな感じでタンク内部を強制乾燥させます。
通常のドライヤーでもいいのですが、この方法なら確実に温風が内部に入ります。
この時、筒と給油口の間には隙間があること。又ガソリンコック等を外した穴は明けたままにしておくと、温風の循環と排出がうまくいき乾燥が速まります。
完全乾燥後は防錆鉄層が形成します。しつこいぐらい充分時間をかけてください。状態にもよりますが私は2時間ほど行います。
このあともう一度、給油口をモンキーダンクか防錆剤GXを塗布・乾燥させてやるといいでしょう。

はい。もう一度同じ写真 ⇒ 

注1: タンク内に入った温風の出が悪いとドライヤーが加熱して危険です。
    隙間は充分開けてください。
注2: ヒートガンなどの超高温ツールは使わないでください。
    水分乾燥が速すぎ薬品成分がゲル化・変色の恐れがあります。


 

処理前のサビがメクれるほどひどかったため、その様子が表面にうかがえます。(何せ30年以上前のバイクですから。)
通常のサビなら、とっても滑らかな表面に仕上がります。
このあと空(カラ)の状態で給油口をあけたまま一ヶ月半ほど様子を見ましたが、錆の発生は当然皆無でした。
本当はもっと長く様子を見たかったのですが、友人が早く返せと言ってきたものでここであきらめです。

参考:5年ほど前に初代モンキーダンクTで処理したカタナS3がありますが、今でもサビの発生はありません。

 
恐るべし モンキーダンク!! (*^^)v